はじめに #
部門按分処理とは、共通部門や親部門の排出量を子部門に適切に配分する機能です。これにより、組織の部門構造に合わせた、より詳細で正確な排出量の分析が可能になります。
本マニュアルでは、部門按分処理の概要と使用方法について説明します。
按分処理の概要 #
按分処理とは #
按分処理とは、以下の排出量を各部門に適切な比率で配分する処理です:
- 共通部門(部門選択なし)の排出量 – 組織全体の共通活動から発生する排出量
- 親部門共通の排出量 – 特定の親部門で発生するが、子部門に分配されていない排出量
按分処理を行うことで、すべての排出量が最終的に各部門に分配され、より現実に即した部門別排出量を把握できます。
按分比率 #
按分比率は、「部門設定」画面で各部門に対して設定できる「按分%」の値によって決定されます。この比率に基づいて、共通部門や親部門の排出量が各部門に配分されます。
按分処理の設定 #

按分処理を利用するには、以下の手順で設定を行います:
- 設定画面への移動
- 画面上部のアカウントメニューをクリックし、「利用者情報」を選択します
- 「各種設定」タブをクリックします
- 按分処理の有効化
- 「部門按分処理をする」のチェックボックスをオンにします
- 設定は自動的に保存され、すぐに反映されます
- 按分比率の設定
- 「部門設定」画面で各部門の「按分%」を設定します
- 値は0~100の整数で入力します
- 親部門間、子部門間でそれぞれ合計が100%になることが理想的です
按分処理の仕組み #
按分処理は以下の順序で行われます:
- 共通部門の配分 – 共通部門(部門選択なし)の排出量を親部門に配分
- 親部門の配分 – 親部門自身の排出量と共通部門から配分された排出量を子部門に配分
按分比率の計算ルール #
按分処理における比率の計算は、次のルールに従って行われます:
- 親部門への配分
- 按分比率が設定されている親部門:設定された比率(%)で配分
- 按分比率が設定されていない親部門:残りの割合を均等に配分
- 総按分比率が100%未満の場合:残りの割合を既存の比率に応じて再配分
- 子部門への配分
- 按分比率が設定されている子部門:設定された比率(%)で配分
- 按分比率が設定されていない子部門:残りの割合を均等に配分
- 総按分比率が100%未満の場合:残りの割合を既存の比率に応じて再配分
- 子部門がない親部門:ダミーの子部門が作成され、100%配分される
部門別集計表での按分表示 #
按分処理が有効な場合、部門別集計表は以下のように表示されます:
- 共通部門行の非表示 – 按分処理が有効な場合、共通部門(部門選択なし)行は表示されません
- 親部門のデータ表示 – 按分前の親部門自身のデータのみが表示されます
- 子部門のデータ表示 – 子部門自身のデータと按分された排出量の合計が表示されます
按分処理前後の違い #
按分処理の違いは以下の通りです:
按分処理なしの場合:
- 共通部門(部門選択なし)の排出量が別行で表示される
- 親部門の排出量に子部門の排出量は含まれない
- 部門間での排出量の重複がない
按分処理ありの場合:
- 共通部門の排出量が各部門に配分される
- 親部門の排出量が子部門に配分される
- 全ての排出量が最終的に子部門に配分される
按分処理の利用方法 #
按分処理の設定は以下の手順で行います:
- 按分比率の設定
- 「部門設定」画面で各部門の「按分%」を設定します
- 値は0~100の整数で入力します
- 親部門間、子部門間でそれぞれ合計が100%になることが理想的です
- 設定反映の確認
- 設定変更後、部門別集計表を表示すると按分処理が反映されます
- グラフと表の両方に按分結果が反映されます
部門按分の活用例 #
例1: 総務部が管理する共通設備の排出量配分 #
総務部が管理している共通設備(電力使用など)の排出量を、各部門の人数比率に応じて配分したい場合:
- 共通部門(部門選択なし)に排出量を登録
- 各部門の按分比率を人数比率に合わせて設定(例:営業部30%、製造部50%、開発部20%)
- 按分処理により、共通部門の排出量が設定した比率で各部門に配分される
例2: 親部門内での排出量の子部門への配分 #
製造部(親部門)内の共通設備の排出量を、各製造ラインに稼働時間比率で配分したい場合:
- 製造部(親部門)に共通設備の排出量を登録
- 製造ラインA~C(子部門)の按分比率を稼働時間比率に設定(例:A:40%、B:35%、C:25%)
- 按分処理により、製造部の排出量が設定した比率で各製造ラインに配分される
よくある質問 #
Q: 按分比率の合計が100%になっていない場合はどうなりますか?
A: 按分比率の合計が100%未満の場合、残りの割合は既存の按分比率に応じて再配分されます。例えば、按分比率が親部門A:30%、親部門B:20%(合計50%)の場合、残りの50%はA:30%、B:20%の比率(3:2)で再配分され、最終的にA:60%、B:40%となります。
Q: 按分比率を設定していない部門はどのように処理されますか?
A: 按分比率が設定されていない部門には、残りの割合が均等に配分されます。例えば、親部門A:40%、親部門B,C,Dは未設定の場合、残りの60%が3部門に均等配分され、B,C,Dはそれぞれ20%ずつとなります。
Q: 子部門のない親部門の排出量はどうなりますか?
A: 子部門のない親部門の場合、システム内部でダミーの子部門が作成され、親部門の排出量がそのダミー子部門に100%配分されます。これによりデータの整合性が保たれます。
Q: 按分処理をしない場合と比べて合計値は変わりますか?
A: いいえ、按分処理は排出量の配分方法を変えるだけで、組織全体の合計排出量は変わりません。
Q: 按分処理の有無はどこで確認できますか?
A: 設定画面の「按分処理を有効にする」オプションで確認できます。また、部門別集計表で共通部門行が表示されない場合は按分処理が有効になっています。
Q: 前年データも按分処理されますか?
A: はい、当年と同じ按分比率で前年データも按分処理されます。これにより前年比較の一貫性が保たれます。
Q: 按分処理後のデータを元に戻すことはできますか?
A: 按分処理はデータ表示時の処理であり、元データは変更されません。按分処理を無効にすれば、元のデータ表示に戻ります。